起業失敗をまねくコントロール不能の状態とは?

どれほど緻密に計画していても、どのようなビジネスでも自分の思い通りに動くものではありません。

その上、自分自身でコントロールできない要素が多ければ多いほど、失敗するリスクが高まります。

逆にいえば、リスクを減らし成功するには、コントロールできない要素をできる限り排除すればよいのです。

そのための大切なポイントをお教えします。

起業失敗の可能性を高めるものとは

この「コントロールできる・できない」というのは、起業するなら多くの場面で気をつけなければならないポイントです。

ビジネスはどんなに緻密な事業計画を立てたとしても、自分の思い通りには動いてくれません。

ましてや、自分でコントロールできない要素を多く抱えているビジネスは起業失敗につながる可能性が格段に高まります。例えば、

「取引相手が大きすぎて、パワーバランスが崩れている」とか、

「特殊な技術をもった職人が退職してしまったら商品が生産できない」とか、

「下請けとして働いている」とか、

「人手不足なのに、マンパワーに頼らなくては成り立たない」など。

株式投資やFXなどもコントロールできる余地がありません。

そして、誤解している人が多いのですが、「流行」もコントロールできません。流行について、簡単にいうと、いま流行っているものが明日も流行っている確証はないのです。

つまりはコントロールできない要素が多く含まれているということです。

スモールビジネスの良いところは自分が右といったら右に行けることです。しかし、コントロールできない要素が多いと右といっても右に向かえなくなってしまいます。

起業失敗をまねく状態の始まり

私はつねにこのコントロールできることとできないことを判断基準のひとつにしています。

しかしながら、多くの経営者が無意識のうちにコントロールできないことに振り回されています。そして、コントロールできないことというのは本質的にお金に直結しないことが多いのです。

これはお金のリスクにもつながりますが、例えば、借金が1000万円あるとします。毎月の返済は待ってくれないので、必ず返済日までには現金を手元にそろえなければなりません。

そこで、売上げが思ったより伸びなければ、どうなるでしょう?お金が欲しいからやりたくない仕事を受けるようになるのです。

やりたくない仕事とは、基本的にお金にならない仕事なので、儲かりません。儲からなくても、とにかく現金が欲しいので、交渉する余地すらないのです。

儲からなくても仕事があるだけ良いかもしれません。しかし、本来受けなくていい仕事なのに、借金に縛られて「やらない」という選択ができない状態なのです。

借金の話は他の機会にもしますが、このような背景をみると、なるべく借入れは少なくするのが良いことがわかってきます。

下請けで仕事をもらっている場合もそうです。自分で集客できないので、イヤな仕事も受けざるを得ません。

つまり、選択の余地が無い状態に陥ってしまうのです。

起業失敗をまねく状態の始まりともいえます。

起業失敗ではなく成功への循環を作る

私のお店はお盆や正月の時期はかなりヒマになります。そんなときは、20連休することもあります。

その間に店の模様替えや集客の仕込みをしたりしますが、なぜそんなに休んでしまうのかというと、ヒマなときにお店を開けていても、モチベーションが下がってしまい楽しくないからです。

ヒマなときは忙しいときとは全く違う意味で、売上げが気になります。気になっても仕方がないのに気になるものです。

それは私にとってムカつくことなので休みにしてしまいます。休みにすれば売上げを気にしなくて済むからです。

スタッフは、お店を休みにしていれば売上げがゼロということは分かりますから、休業明けには、失った売上げを取り戻そうと、一生懸命がんばってくれるので、結果的には良い効果となっています。もちろんこの背景には、高利益体質を作ったこともあります。

忙しいときには楽しく、ヒマなときにも楽しく仕事ができればと思いますし、それをコントロールするのも経営者である、あなたなのです。

連休明けにお店を開ければ「待ってました」とばかりにお客さんが押し寄せてきます。これは地域一番店という圧倒的な優位性を持ったことで、お客さんをコントロールできる状況を作ったのです。

とはいえ、従業員が何十人もいる場合、まちがってもこんなことはできません。毎月数百万円の人件費が飛ぶのですから、とにかく現金を求めるようになります。そうすると赤字にならないレベルの仕事をするようになります。つまり給料を払うための仕事です。

こんなことを言うと敵を作ることになりますが、そんな苦労してまで仕事をするのであれば、従業員を減らせばいいのです。いや、はじめから従業員は必要以上に増やさないことです。

そもそもスモールビジネスという前提で話をしているのですから、従業員の雇用は大企業に任せるのが良いと思います。

起業失敗しないためにはコントロールを失うな

見方を変えれば、スーパーやショッピングモールのテナントに入ることもコントロールが効かなくなる要素をはらんでいます。

もちろん、メリットもありますが、一方で制約も多いものです。休日や営業時間を合わせるのは当然、広告も自分たちの思い通りには出せません。

ヒマな時期でもヒマな時間帯でも、人を置いて店を開け続けなければなりません。

集客も店舗に依存しているので、自分たちの力がつきません。仮に契約が切れ、テナントを去る必要にせまられたときは大変な苦労をすることでしょう。

人も増えればコントロールを失います。

ひとつの物事を決めるときに、多くの人が絡んでくると話がまとまらないことがあります。それもコントロールできない要素ととらえることができます。

一般的には、みんなの意見を聞きながら良いものを作っていくという考えが浸透していますが、スモールビジネスはスピードがとても重要視されます。

そもそもヒト・モノ・カネの全ての要素が不足している状態のスモールビジネスでは、資産はスピードしかありません。

そのときに、多くの人の意見を聞きながら物事を進めるなんてことをしていたら、時間だけが過ぎ、気づいたときには資金は底をついて起業失敗となってしまいます。

だから、スモールビジネスはトップダウンで動くしかないのです。

だから、右向け右なのです。

起業失敗のリスクはとにかく減らすべき

物事をみんなで決めましょうなんていうのは、責任を取りたくないサラリーマン社会の悪い仕組みのひとつです。

経営者はリスクを取って責任を負っているのですから、トップダウンで物事を進めていく義務と権利と責任があるのです。

すぐに動いて、結果に対してまた動き、トライアンドエラーの実践で物事が決まっていくのです。

そもそも、スモールビジネスは何十人と従業員が必要なビジネスではないので、トップダウンにならざるを得ないのですが…。

このように、つねにコントロールできることとできないことを意識して考えるのがとても大切なのです。

会社を大きくしようとすればするほど、コントロールできない要素が増えます。この要素が増えれば増えるほど、起業失敗のリスクも高まるというわけです。

したがって、コントロールできないことはなるべく排除するようにして、コントロールできる仕組みを作っていくことが必要です。その形がスモールビジネスなのです。

このコントロールできること・できないことについての一番恐ろしいのは意識しないと気づかないことです。

多くの問題を抱えている人にかぎって、多くのコントロールできないことに関わっているように見えるのは私だけではないと思います。

もし、そういう人を見かけたら観察してみてください。たくさんの気づきを与えてくれる反面教師となるはずです。


「起業失敗をまねくコントロール不能の状態とは?」まとめ

素早くトップダウンで動くしかないスモールビジネスでは、コントロールできない要素をできる限り排除すべき。

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